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五七の森

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■ 毎日新聞の記事をそっくり転載したものです(無許可の為、翌日以降非オープン)

毎日新聞に、日々連載されている「季節のたより」。俳句と浮世絵と寸評があって面白い。　新聞紙上では、一面の大きな話題に押されて、目には映っても頭には入りにくい。　しかしメモ帳代わりに切り出すと、主役となる。　心に感動を与えたり、ほのぼのとした寸評にニャリと笑わされたりもする。　(ボケ防止のため転載したりファンのみ公開に切り替えたり私的に楽しんでいるページです)　

□■□■□≪選者紹介≫□■□■□

■ 坪内稔典　（俳句の選者）
　　（つぼうちとしのり、俳号ではねんてん、1944年(昭和19年)4月22日 - ）
　　俳人・佛教大学教授。京都教育大学名誉教授。愛媛県西出身。
　　正岡子規や夏目漱石の研究で知られるが、俳人歌人としても活躍。
　　俳句グループ「船団の会」代表を務める。
■ 藤原千恵子　(画像：選と構成)
　　慶應義塾大学文学部卒業。銀河社編集長。『原色浮世絵大百科事典』（全十一巻）の編纂に従事。

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月あかり砂に磁力の増ゆるかな


■ 能村　研三
月あかり砂に磁力の増ゆるかな
つきあかり　すなにじりょくの　ふゆるかな

≪ 解説 ≫

月が大きくなっている。
明後日は十五夜だ。

今日の句集「催花の雷」から引いた。

月あかりの中で砂粒が
立ち上がっている感じ。

銀閣寺の銀砂灘(ｷﾞﾝｼｬﾀﾞﾝ）を連想したが、
公園の砂場、砂丘、海岸などでも
月夜には砂が磁力を帯びて
立ち上がるのではないか。

「月明り川のくねりは嫋(ﾀｵ)やかに」

も研三。

月夜には川のくねり具合も変わるらしい。

選者及び解説は、坪内稔典（俳号：ねんてん）氏

◇出典：毎日新聞（季語刻々・2015･09･25）

ご参考①→ ■ 現代俳句協会ホームページ

ご参考②→ ■ 至遊さんの句あれば楽あり

この記事に


■ 三橋　敏夫
ありがたき空気や水や小鳥来る
ありがたき　みずやくうきや　ことりくる

≪ 解説 ≫

空気や水はごく普通にあるので、
ふだんはありがたさを感じない。

ところが小鳥が朝の窓辺へ
来たりすると、窓辺の空気の
存在を急に感じる。

小鳥とともに空気も動く。

そういえば、小川洋子に
「ことり」という小説がある。

小鳥の言葉のわかる小鳥好きの兄弟が
描かれている。

読後、自分んも小鳥と話がしたくなる、
そんな小説だ。

選者及び解説は、坪内稔典（俳号：ねんてん）氏

◇出典：毎日新聞（季語刻々・2015･09･24）

ご参考①→ ■ 現代俳句協会ホームページ

ご参考②→ ■ 至遊さんの句あれば楽あり

この記事に


■ 岩岡　中正
つつましく小鳥のやうにとる昼餉
つつましく　ことりのように　とるひるげ

≪ 解説 ≫

「小鳥」は秋の季語。

庭先などに来る小鳥を
「小鳥来る」とも言う。

今日の句は窓辺に小鳥が来ている。
その小鳥がついばむように
昼餉をとっている。

作者は1948年生まれ、熊本に住む。

句集「相聞」から引いた。

私(ねんてんさん）は昼餉という言葉は
ほとんどつかわない。
昼飯かランチである。

前者はうどんや丼、
後者はパスタやカレー。

選者及び解説は、坪内稔典（俳号：ねんてん）氏

◇出典：毎日新聞（季語刻々・2015･09･23）

ご参考①→ ■ 現代俳句協会ホームページ

ご参考②→ ■ 至遊さんの句あれば楽あり

この記事に


■ 及川　貞
空澄めば飛んで来て咲くよ曼珠沙華
そらすめば　とんできてさくよ　まんじゅしゃげ

≪ 解説 ≫

曼珠沙華はどれもが
同じ遺伝子を持つ
クーロン植物。

田中修さんの「雑草のはなし」（中公新書）にいよると、
クーロンだから日本中の曼珠沙華は
同じ性質であり、
同じ地域だと
花の咲く時期、花の大きさや色も
同じなのだという。

すべて同じという
その不思議さ、あるいは意外感、
それを今日の句は
「飛んで来て咲くよ」
と表現した。

選者及び解説は、坪内稔典（俳号：ねんてん）氏

◇出典：毎日新聞（季語刻々・2015･09･22）

ご参考①→ ■ 現代俳句協会ホームページ

ご参考②→ ■ 至遊さんの句あれば楽あり

この記事に


■ 黛　まどか
まへがきもあとがきもなし曼珠沙華
まえがきも　あとがきもなし　まんじゅしゃげ

≪ 解説 ≫

曼珠沙華は不意に満開になり、
あっけなく消えてしまう。

その咲ぶりが　「まへがきもあとがきもなし」。

俳句歳時記で曼珠沙華を見ると、

「彼岸花」
「死人花」
「幽霊花」
「捨て子花」

などの不吉な異称が並んでいる。
曼珠沙華は墓地に咲く花だった。

近年、各地に曼珠沙華の
群れ咲く名所ができ、
不吉なイメージは一新された感じ。

選者及び解説は、坪内稔典（俳号：ねんてん）氏

◇出典：毎日新聞（季語刻々・2015･09･21）

ご参考①→ ■ 現代俳句協会ホームページ

ご参考②→ ■ 至遊さんの句あれば楽あり

この記事に