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◆ 湖面に映るが如く ◆

書庫日々雑感

STAP細胞研究者・・・中学時代から「人間の生命」に高い関心
毎日新聞への読書感想文をそっくり転記。

 「ちいさな王様が教えてくれた 大人になるということ」
                                      松戸市立第六中2年・小保方晴子
 私は大人になりたくない。
日々感じていることがあるからだ。
それは、自分がだんだん小さくなっているということ。もちろん体ではない。
夢や心の世界がである。
現実を知れば知るほど小さくなっていくのだ。
私は、そんな現実から逃げたくて、受け入れられなくて、仕方がなかった。
夢を捨ててまで大人になる意味ってなんだろう。
そんな問いが頭の中をかすめていた。でも、私は答えを見つけた。
小さな王様が教えてくれた。
私はこの本をずっとずっと探していたような気がする。
 
 「僕」と私は、似ているなと思った。
二人とも、押しつぶされそうな現実から、逃げることも、受け入れることもできずにいた。
大人になるという事は、夢を捨て、現実を見つめる事だと思っていた。
でも、王様は、こう言った。
「おまえは、朝が来ると眠りに落ちて、自分がサラリーマンで一日中、仕事、仕事に追われている夢をみている。
そして、夜ベッドに入るとおまえはようやく目を覚まし一晩中、自分の本当の姿に戻れるのだ。
よっぽどいいじゃないか、そのほうが」と。
私はこの時、夢があるから現実が見られるのだという事を教えられたような気がした。
 
 小さな王様は、人間の本当の姿なのだと思う。本当はみんな王様だったのだと思う。
ただ、みんな大人という仮面をかぶり、社会に適応し、現実と戦っていくうちに、忘れてしまったのだと思う。
 いつか、小さな王様と「僕」がした、永遠の命の空想ごっこ。
私は、永遠の命を持つことは、死よりも恐ろしい事だと思う。
生きていることのすばらしさを忘れてしまうと思うからだ。
 
それに、本当の永遠の命とは、自分の血が子供へ、またその子供へと受けつがれていくことだと思う。
 王様は、人は死んだら星になり、王様は星から生まれると言っていた。
私は、王様は死んでいった人々の夢であり願いであるような気がした。
人間は死んだら星になり、王様になり、死んでから永遠がはじまるみたいだった。
こっちの永遠は、生き続ける永遠の命より、ずっとステキな事だと思う。
 「僕」は王様といっしょにいる時が、夢なのか現実なのかわからない。
と言っていたけれど、きっと「僕」は、自分の中の現実の世界に小さな王様を取り入れることによって、
つらい現実にゆさぶりをかけ、そこからの離脱を見い出しているのだと思う。
 
 「僕」は王様にあこがれているように見えた。
つまり、自分の子供時代に、ということになるだろう。
私も、自由奔放で夢を見続けられる王様をうらやましく思う。
でも、私はそう思うことが少しくやしかった。
なぜなら自分の子供時代を、今の自分よりよいと思うということは、
今の自分を否定することになるのではないかと思ったからだ。
まだ私は、大人ではない。
なのに、今から、自分を否定していては、この先どうなっていってしまうのだろうと思って恐かった。
でも、また一方では、「前向きな生き方」や「プラス思考」などというものは、存在しないようにも思えた。
 夢には、二面性があると思う。
持ち続ける事も大切だが、捨てる事もそれと同じ位大切な事なのだと思う。
どちらがいいのかは、わからない。
また、私がこの先どちらの道に進むのかも。
ただ、言えることは、みんなが夢ばかり追いかけていては、
この世は成り立たなくなってしまうということだけなのだと思う。
 
 私は王様の世界より、人間の世界の方がスバラシイこともあると思った。
なぜなら、人間には努力で積み重ねていくものがあるからだ。
子供のころから培ってきたものは、なに物にも勝る財産だと思うからだ。
王様の世界では生まれた時が大人だからそれができない。
 絵持ちの家に行ってから消えてしまった王様は、もう「僕」の前には現れないと思う。
なぜなら、もう「僕」には王様の存在の必要がなくなったからだ。
私と「僕」は答えを見つけた。
「夢を捨ててまで大人になる意味」の答えを。
それは、「大人になる為に、子供時代や夢がある」ということだ。
最後の赤いグミベアーは、さようならのメッセージなのだと思う。
 
 これからは「僕」も私も前を向いて生きていけると思う。
王様は、まだ答えの見つからない、王様がいなくて淋しがっている人の所へ行ったのだろう。
 私は本の表紙に名前を書いた。
王様が教えてくれた事を大人になっても忘れないように。
 王様の存在が夢か現実かはわからないが、この本を読む前の私にとっては夢であった。
しかし、少なくとも、今の私の心の中で生きている王様は現実だということは紛れもない事実である。
 世の中に、ちいさな王様と友達になる人が増えたら明るい未来がやってくる。
そう思ってやまないのは私だけではないのであろう。

 <アクセル・ハッケ著(那須田淳、木本栄共訳)「ちいさな ちいさな王様」(講談社)>

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